















国産NFTゲームの登場
2017年11月にさまざまな種類の仮想猫を購入し、販売、収集、繁殖するゲーム「CryptoKitties」が登場して以降、デジタルキャラクターやアイテムがNFTとなっていることで、自由に売買できるNFTゲームがリリースされはじめました。
国産のNFTゲームとしては、2018年11月30日に「My Crypto Heroes」がリリースされ、イーサリアムベースのブロックチェーンゲームとして、取引高、取引量、DAU(1日あたりのアクティブユーザー)で世界1位を記録しました。その後、
2019年6月25日に「DryptoSpells」、
2020年1月23日に「コントラクトサーヴァント」
2020年4月20日に「EGGRYPTO」
2021年5月30日に「マイクリプトサーガ」
などのタイトルが国産NFTゲームとしてリリースされています。

【NFT】NFTゲームと従来のゲームとの違い
NFTゲームはアナログのトレカと同じように、デジタルでも「世界に〇枚しかない」という有限なことが証明されているため、希少なカードは資産価値をもちます。また、アナログのトレカをカードショップや友達同士で交換するように、デジタルでも自由にトレードや売買を行うことが可能です。
一方で、NFTゲームはアナログのトレカ的な資産性はありつつも、
・手軽さ
・オンラインでのマッチング
・無課金で開始できる
など、デジタルゲームの良さも兼ね備えています。
さらに、NFTならではの体験例として「自分のNFTが別のゲームでも使える」という世界を実現してるNFTゲームも存在します。

【NFT】NFTはユーザーがゲームを持ち上げるインセンティブに
この特徴により、ユーザーがプレイスキルを磨いて特定のキャラクターの協力な使い方を広めたり、イベントを主催して特定のキャラクターの人気を高めたりすると、もっているキャラクターNFTをより高い価格で取引できるようになり、「ユーザー主導でゲームを持ち上げることが、ユーザーの得にもなる」ことにつながります。

【NFT】My Crypto Heroes
イーサリアムベースのブロックチェーンゲームとして、取引高、取引量、DAUで世界1位を記録し、リリース後2年の累計売上は2万ETHを越えています。
ドット絵で描かれた歴史上の英雄キャラクターでパーティーを組み、ノードと呼ばれるダンジョンに挑んで敵を倒し、手に入れたレアアイテムでさらにパーティーを強くしていくゲームです。
英雄キャラクターと装備アイテムがそれぞれNFTになっており、ユーザー間で取引ができます。
マイクリではプレイヤーの多様なプレイスタイルが「士農工商」と呼ばれます。
それぞれのプレイヤーの思惑によって動くことでそこに経済圏が形成され、ゲームが盛り上がるようにゲーム設計がされています。
武士 | プレイヤー同士のバトルで勝って報酬を得るため、より強いキャラクターやアイテムを買い集めて強力なパーティーをつくっていくプレイヤーです。 |
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農民 | ダンジョンを攻略して得たアイテムをマーケットに売ることで利益を得ているプレイヤーです。アイテムがドロップすることではじめてプレイヤーたちにアイテムが供給されていくことになるので、生産職のような立場として農民プレイヤーと呼ばれます。 |
職人 | 愛クリにはキャラクターのドット絵を編集する機能があり、ドット絵の編集によって能力が変わります。編集したドット絵はキャラクターのスキンとして売り出すことができ、美麗なドット絵やおもしろいドット絵を売り出して稼ぐプレイヤーは工あるいは職人と呼ばれます。 |
商人 | 商人と呼ばれるプレイヤーはマーケットからアイテムやキャラクターのNFTを買い取り、他のプレイヤーに売ることで利益を得ています。キャラクターNFTを買いこむことで、キャラクターNFTのゲーム全体への供給を増加させる役割も担っており、マイクリの経済圏に不可欠な存在になっています。 |

【NFT】CryptoSpells
2018年6月に正式リリースされ、売上金額は初日で600ETHを突破し、当時日本最高記録となりました。
2019年6月に日本ではじめて「ブロックチェーンゲーム」という名称で地上波でのテレビCMを実施し、また、2021年4月にCoinCheckNFTではじめてのNFTセールを開催し、およそ600万円分のNFTが5秒で完売しました。
CryptoSpellsは30枚のカードと、最初の手札としてひとつ選べる特殊なカード「クリプトスペル」3枚でひとつのデッキを組み上げ、そのデッキでNPCやプレイヤーと戦うターン制のカードバトルです。
デッキの組み方や毎ターンのカードの使い方による戦況の変化は無限大であり、奥深い戦略性があります。
CryproSpellsには、レジェンド、ゴールド、シルバー、ブロンズの4種類のカードレアリティがあり、そのうち上位2つにあたるゴールド、レジェンドのカードはNFTとしてゲーム内外のマーケットで取引することができます。
レジェンドの中でもリミテッドレジェンドと呼ばれるカードは発行枚数が9枚と限定されており、ユーザー間で高値で取引されます。
CryptoSpellsは3ヶ月に1度大規模な大会が開かれており、その優勝商品は「ゲーム内に自分オリジナルのカードを実装してもらう権利」であるカード発行権NFTです。
カード発行権NFTを自分で使って自分好みのカードをつくってもらうもよし、マーケットプレイスに売って利益を得るもよしとなっています。
クリスぺには誰でも所属できる5つのギルドがあり、ギルドStockと呼ばれるギルドの所有権NFTが販売されています。
それぞれのギルドStockの所有者はギルドに入っているメンバーが新たにクリスぺに課金すると、その課金額の一部が収入として入る仕組みになっています。
各ギルドのギルドStock最大の所有者によってギルドマスターが決まります。
ギルドマスターは自分のギルドを盛り上げるため、それぞれ独自の施策を打ち出していて、ギルドを中心にしたコミュニティ形成とイベント規格がクリスぺ公式の手によらず独自に発展していくことで盛り上がっています。

【NFT】NFTによって新たな展開を迎えた国内ゲーム業界
2021年4月には、「ソニック」や「ぷよぷよ」「龍が如く」シリーズなどで有名な株式会社セガ、またスクウェア・エニックスは資産性ミリオンアーサーというミリオンアーサーシリーズのキャラクターシールの展開をDoubleJump.tokyoとの共同開発ではじめています。
また、悪質な業者による詐欺ゲームでユーザーが被害に遭わないように、NFTゲームのガイドラインの整備が進んでいます。
日本のソーシャルゲーム、スマホゲームでは有料のガチャによる商品展開が主流になっています。
ガチャは目当ての商品を入手できるかどうかが変化するため、ユーザーにとっては「いくらお金を積んでもほしいものが手に入らない」ことが続くことがあります。
しかも、そのアイテムは二次流通が禁止されているので、目当てのアイテムを手に入れるためには当たるまで課金をし続けなくてはなりません。
これは経済的にも精神的にも大きな負担になってしまいます。
一方でNFTゲームではそういったスマホゲームでは二次流通できないアイテムがNFTとして二次流通可能な状態になっているので、運よくアイテムを得たプレイヤーからそのアイテムを買い取って手にいれることができます。
また、二次流通手数料の一部がゲーム運営者に還元される仕組みも取り入れることができ、ゲームの運営者にとっても二次流通による収益が選択肢のひとつになります。

【NFT】国内ゲーム業界におけるNFTの課題
たとえば、日本国内ではNFTアイテムを有償のガチャで商品展開すると賭博罪に該当してしまう可能性が高いとみられています。
これは二次流通で価値が付くと認められるアイテムを確率によって得られたり得られなかったりするゲームが生じてしまうためです。
現在、海外最大手NFTゲームのAxie Infinityをはじめとして、独自の暗号資産を発行するゲームタイトルが増えています。
国内でもマイクリを運営するMCH社がMCHCと呼ばれるガバナンストークンを発行し、ゲーム運営の意思決定のための投票に使われています。
一方で、日本ではNFTおよび、独自の暗号資産の発行に関する、法務・税務面がまだ明確になっていません。
今後、より大手のゲーム会社がNFT、NFTゲームに参入しユーザーと共に意思決定するゲームの設計のため、日本におけるNFTおよび独自の暗号資産の法務・税務面の整理が必要になると考えられます。
コンテンツ大国日本において、エンターテインメント・ゲーム領域でこのNFTが活用され世界に広める切り札となることで、NFTが日本の新しい産業となっていくことを期待しています。