















スポーツ業界にとって、NFTは単なるマネタイズ手法ではない
そんな彼が決めたバルセロナFCからパリ・サンジェルマンへの移籍。
その契約内容の報酬部分に暗号資産が含まれていたことはご存知でしょうか?
サッカーをはじめとして、暗号資産・ブロックチェーン企業によるサッカー界への事業進出、スポンサー契約が止まりません。
そんなブロックチェーンや暗号資産が刻んで来た歴史の中で誕生した、いわゆる非代替性トークンであるNFT。
Dapper Labsによる「NBA Top Shot」やメッシ選手がNFT化されたMessiverseなどの新しいコレクティブルが世界中で大きな話題を呼んでいます。
スポーツ業界においては、トレーディングカードのNFT化を筆頭に、NBA Top Shotのような得点シーンや選手のスキルを収めたNFTが大きな人気を博しており、全世界のファンベースに対して新しい価値を与えています。
これは従来のペーパーベースのトレーディングカードや、DVDやVHSなどの専用のプレーヤーのみで再生可能だったメディアのよう、いわゆるレアアイテムというものが属性的にもつ定めにあった非モビリティ性の問題を一気に解決するものといっても過言ではありません。
これにより、さまざまなスポーツジャンルでプレーする団体や個人がNFTを世界中に向けて発行することで、いままではニッチで、なおかつ、愛好者や視聴者の規模が小さかった競技への注目度および関心度の上昇が期待できるという側面があることを忘れてはいけません

代表的なスポーツNFT
世界中のプロスポーツリーグで、数えきれないほどのアスリートたちが頂点を目指して切磋琢磨を繰り広げており、この大きなうねりの中で、数多くのスター選手が生まれ、地球上のスポーツファンに感動を届けてきました。
そんなプロアスリートがプリントされたトレーディングカードは、国籍を問わず、スポーツに励む青少年はもちろん、年を重ねてもスポーツへの情熱や特定のチーム、アスリードへの愛が絶えることのないファンによってコレクションされてきた歴史があります。

【NFTスポーツ】Sorare(ソラーレ)
Sorareは、実際の試合戦績がスコアに反映され、好きな選手を集めて作成したチームで他のユーザーとランキング上位を目指して競い合う、シンプルながら最先端の技術を取り入れた新感覚のカードゲームとして世界中のユーザーから公表を博しています。
ランキングに応じて、イーサリアムなどの暗号資産はもちろん、レアカードなどを入手でき、ブロックチェーンで管理されているため、各NFTがもつ資産価値が可視化されていることも特筆すべき点といえるでしょう。
従来のトレーディングカードに慣れ親しんでいるユーザーに加え、比較的NFTのような新技術に対するアレルギーが少ないミレニアル世代まで、サッカーに対する情熱をそのままデバイス上に落とし込み、サカつくに近い感覚で上位を目指していく。
そして上位に食い込むことができれば、実際に資産価値をもち、他ユーザーと交換することができる報酬を獲得できるという点で、Sorare以上にパイを広げているプロジェクトはないといっても過言ではないのではないでしょうか。
実物を保有することに大きな意味が見出されてきた従来の紙のトレーディングカードとは異なり、ネットワーク上で世界中のプレイヤーと競い合いながら、報酬も受け取ることができる。まさにファン冥利に尽きる新しい娯楽の形をNFTが実現している素晴らしい例といえるでしょう。
また、Jリーグに加盟中のチームすべてと提携を結んでいるため、これからの国内スポーツNFT市場でも、一目置かれる存在となっていくことでしょう。

【NFTゲーム】FiNANCiE(フィナンシェ)
Jリーグに所属しているプロチームや、Jリーグを目指して活動を続けているチーム、海外リーグの成功を夢見る個人選手。
さまざまなバックグラウンドをもったチームや個人がFiNANCiEで独自のトークンを発行して活動資金を調達しています。
中でも特筆すべきは、「キャプテン翼」の原作者として知られる高橋陽一氏によるサッカークラブ南葛SCが発行したチームトークン。
FiNANCiE限定で販売されたトークンは全体で4000万円を超える売り上げを達成し、これはFiNANCiEのどのパートナーチームよりも大きいファンディング額となっています。
このようにチームトークンを発行したチームは、トークン保有者に対して選手との交流イベントの正体や限定グッズのプレゼントなどの特典を与えると共に、SNS感覚で閲覧することができる活動報告の更新、ユニフォームデザインなどを決める投票イベントの開催を通して、地域に根差しつつも日本全国に届くような、新しいファンサービスの形を構築しはじめています。
発行側にとっては新たな収益源として、そして購入者側にとっては新たな応援の形として、チームトークンの存在感が着実に広まって行っていることを表しているのではないでしょうか。

【NFTゲーム】Chiliz(チリーズ)
このように、サッカー業界において一定の成功をつかんでいたトレーディングカード文化を新しい形で伝承しているSorareや、国内スポーツチームや個人の新たなブランディングおよびクラウドファンディングの形に焦点を当てたFiNANCiEのような企業がいるなか、Chilizでは、次世代型ファンエンゲージメント&報酬プラットフォーム「Socios.com」を開発しています。
Chilizは、2021年8月の時点でFCバルセロナ、アーセナルFC、マンチェスター・シティ、ユベントス、インテル・ミラノ、ACミランといった世界トップクラスのサッカーチームに加え、暗号資産との相性が非常に良いeスポーツから複数チーム、このほかにもUFCのような世界屈指の総合格闘技団体と提携を結んでおり、各チーム独自のファントークンを発行し、世界中のサポーターにとって新しい応援の形を提供しています。
ファントークンを保有することで、チームが開催する公式投票イベントへの参加が可能となり、チームパスやユニフォームのデザイン、ゴールチャントの楽曲選択に対してブロックチェーンを通じて自らの意見をチームに届けることができるのです。
投票にブロックチェーンを応用することにより、過去の標準フォーマットであったTwitterやFacebookでの投票や、メールや書面アンケートによる意見収集に比べて、はるかに高い透明性の実現に成功しています。
ポケモンGo感覚でファントークンなどを披露ことができるAR機能「トークンハント」や、ファントークン保有者のみが対象となるチーム公式グッズのデx素カウントサービス、試合結果を良そうして世界中のサポーターたちとランキング上位を競い合いながらグッズ獲得を目指す「Sociosプリティクター」や「リーダーボード」といったさまざまなサービスを、革新的なファンエンゲージメントの視点から提供しています。
実際に、ファントークン保有者の中には抽選でスタジアムツアーや、選手たちと実際にコミュニケーションをとることができる交流イベントを勝ち取った方も多く存在しています。
FCバルセロナは、公式ファントークン「$BAR」保有者の中から当選した型をカンプ・ノウに実際に招き、選手たちが試合で使用するグラウンドでサッカーを楽しんでもらう内容のキャンペーンを開催した事例があります。
このように成長途中ではありながらも、ブロックチェーン技術と既存のファンサービスを組み合わせ、ブラッシュアップしていくことで、あたらしくも馴染みのあるサービス構築を行っています。
贔屓に聞こえてしまう前に、最後にお伝えしたいのは、一度手に入れたファントークンは消滅しないということです。投票に参加しても、報酬を受け取っても、アプリ機能の利用でファントークンが消費されることはありません。
年会費制が主流である既存のファンクラブという仕組みとは異なり、国籍、言語、地理的な距離の関係なしに、誰もが愛するチームと密接にかかわり、好きなタイミングで応援することができるのです。
Chilizでは、この仕組みをもとに、受動的であるファンベースをより能動的な存在へ昇華させていくことをゴールのひとつに掲げています。
いままでは居住地域や距離の問題で、応援している海外チームの試合を現地観戦することができなかった、そのようなスポーツファンの方がたくさんいらっしゃる中で、日常の一部として愛するチームに意見を提出し、チームに関連するキャンペーンやイベントに参加することで限定グッズや選手とのテレビ通話といった特別報酬を手に入れるチャンスをつかむことを可能とする、時代を超えたサービスの提供こそが、スポーツ界における新たなファンエンゲージメントの形となっていくと考えています。
この中で、Chilizでは、非代替性ではないファントークンとは別に、デジタル・コレクティブルの開発を続けています。
既存のファントークンとは異なる仕組みの上で発行するデジタル・コレクティブルになる予定で、一定の条件をクリアすることで、より高いティアーのデジタル・コレクティブルを手に入れることができ、ティアーが上がるほど保有するメリットがより大きなものとなり、受けられるサービスのグレードがアップするような仕組みづくりを進めています。
既存のトレカでもない、ファントークンでもない、ユーザーの所有欲を満たしながら、NFTの特性を生かした保有メリットを付与し、NFTと現実世界のリンクを行っていくことに重きを置きながら開発を進めています。
【NFTスポーツ】意味をもつ空間なくしてNFTの未来はない
相性が良いからこそ、そこには多くのNFTが溢れかえることが予想できるしょう。
世界全体におけるインターネットの普及の結果、これまで以上にチームやアスリートの動向が世の中に伝播しやすくなりました。
ファンは一体何を考えているのか?
どういった気持ちで応援しているのか?
どんな瞬間にファンを辞めてしまうのか?
こういった個々の感情や反応が、以前よりも目に入るようになり、自国だけではなく世界中からそのような情報が次々と流れ込んでくる。
私たちは、人類史上最も情報に触れる機会が多い時代に生きていて、それはユーザーが求めているものを与えやすくなった、と考えることもできるのです。
スポーツ業界における、NFTの大きな可能性のひとつにVRが挙げられます。
たとえば、オンラインゲームの世界では、特定のアイテムを持っていないと有効にできない機能があったり、アクセスできないエリアがあったりするわけですが、今後この流れはほぼ確実にスポーツの世界にも訪れることでしょう。
ゲーマーたちが友人とオンライン空間で落ち合い、共にゲームを楽しむように、スポーツファンもVRデバイスを使用し、仮想現実空間で待ち合わせをし、仮想のスタジアムで、あたかも現地で観戦しているかのように試合を楽しむ時代が必ず到来するでしょう。
そのような場面で使用することができるチケットや年間パスは、NFTの技術をもってすれば簡単に顧客の管理が可能となり、ユーザー同士によるチケットのギフティングも可能となるでしょう。
つまり、NFTとVR、そして現実空間の絶妙な組み合わせを実現することができれば、スポーツ業界におけるNFTは爆発的な成長を遂げ、その市場規模も従来のものを大きく超えられると考えられるのです。
そのような時代はほぼ確実にやってきます。固定電話や携帯電話に替わったように、携帯電話がスマートフォンに替わったように、私たちが生きているこの世界は、いまこの瞬間も少しずつ変化しており、私たちもその変化を多種多様に受け止め、変わり続けているのです。
NFTは、未来の人間社会において欠かせない存在になっていくことでしょう。
スポーツ業界が、世界中のファンベースを深く理解し、可能な限り多くの人々に満足してもらうにはどのようなNFTが必要なのか。
これは、すべてのNFTプロジェクトが根底部分に抱えている問題です。単刀直入にいえば、世界はまだNFTを完全に受け入れる準備が整っていません。
ですが、いくら人間は原価を嫌うとはいえ、人類は総合的により便利な社会を求めてその歴史を刻み続けていくことでしょう。
その未来を実現させるためには、パイオニアである私たちが先陣を切っていかなければなりません。

【NFTスポーツ】ユーザー教育とブランド力強化の重要性
主に、形あるものに保有する意味や資産価値を見出して来た人類にとって、非代替性であるとはいえネットワーク上にしか存在せず、実際に触れたりすることができないものがほとんどといえるNFTの希少性や保有価値が理解される世の中がやってくるのかは未だ不確定要素が多いといわざると得ません。
また、NFTは知識さえあれば実質誰でも発行することができ、その取っつきやすさはメリットである反面、模造品や類似品の発生を防ぐための適切なフレームワークおよび対策の準備が必要といえるでしょう。
伝説的選手が引退試合で使用したサイン入りバット、スター選手がデビュー戦の時に着用した実際のユニフォーム。
これらはすべて熱狂的なファンであればだれもが喉から手が出るほどほしくなるようなアイテムですが、あくまでも、実際に保有できるフィジカルな価値をもつからこそ、所有欲を完全に満たしてくれるのです。
これはスポーツ業界だけではなく、多くの業界でこれから開発および発行が進められるNFT全体にいえることではないでしょうか。
つまり、スポーツ業界全体にNFTを浸透させていくためには、スピード感をもって新たなサービスを構築していくのも重要ではありますが、塵のように増えていくことが予想されるスポーツNFTの中で、各企業がきちんと差別化を行い、なおかつターゲットとするエンドユーザーへの半永久的ともいえる教育を行っていく必要があると考えます。
エンドユーザーが、
① 安心して購入することができる
② NFTがもつ価値および利便性を理解する
③ NFTをもつことによって今までにはない経験や体験を受け取ることができる
本当の意味での新たなフェーズに業界全体で足を踏み入れていかなければいけないのです。
これに加えて、忘れてはいけないのは、NFTの総合的なブランド力の強化です。
レトロジョーダンがマニアに高い人気を誇っているのは、エトロジョーダンが単なる靴ではなく、それ以上の価値をもっているという共通認識、つまりブランド力が確立されているためなのです。
ピカソの絵も、ピカソの個人ブランド力あってこそ資産価値をもつのです。
NBA Top Shotも、NBAという巨大なブランド力があるからこそ、そのエコシステムの中でミント(発行)されるNFTが強い価値をもち、ユーザーの間に暗黙の価値の了解がうまれるのです。
既存のフィジカルなグッズやアイテムにはない、NFTの良さをいかにして一般スポーツファンの日常に落とし込んでいくか。
そして、数多くあるNFTの中で、以下にして確固たるブランド力を育てていくか。
これこそが、スポーツNFT全体のメインストリーム化につながり、同業界の今後において、とても大きな焦点、そして課題となってくるでしょう。