















紙からNFTへの大転換。次世代に到達したトレーディングカード最前線
【NFT】トレーディングカード業界におけるNFT
リアルなトレーディングカードを手掛けていたイタリアのパニーニ社、アメリカのトップス社なども、2019年ごろよりNFTの可能性に注目し参入を発表、現在ではNBA、MLB、NFLのスポーツカードなどをNFTにより販売しています。
また、カナダのダッパーラボ社が運営するNBA Top Shotは、NFT自体の認知度を急速に広めるとともに経済的にも大成功をおさめ、その後のNFT業界への新規参入者の広がりに大きな影響を与えました。
アメリカを中心とした海外で注目を浴びたNFTトレーディングカードですが、日本においても2020年後半から同様の広まりを見せており、海外で流行するスポーツ×NFTのほか、アイドル×NFTといった形でも消費者の手に届きつつあります。
また、トレーディングカードとして売買・交換を行う場も増えて来ており、海外のOpenSeaやWAXをはじめ、日本国内でもCoinchech NFTやnanakusaなど、多くの企業が参入を進めています。
【NFT】代表的なNFTトレーディングカードサービス~NBA Top Shot
本サービスにおいて各トレーディングカードは、MOMENTSと呼ばれ、選手たちのプレー動画が記録されており、ユーザーはそれを手に入れ、見ることができます。
NBA Top Shotのサイト内ではカードのパック購入以外にも、自分がもっているカードの売り出しおよび他のユーザーがもっているカードの購入ができるMarketPlaceや、自分がもっているカードを他のユーザーに見せたり、他のユーザーとコミュニケーションをとることができたりするCommuinitynado、ワンストップで様々なサービスが提供されています。
NBA自体が持つコンテンツパワーもさることながら、NFTやブロックチェーンといった専門的な用語を前面に出さず、また自身のサイトでワンストップで二次売買が行えるなどわかりやすいユーザーインターフェースとしたことで、暗号資産やブロックチェーンに詳しくないユーザー層の取り込みができたことも、大きく成功した要因のひとつではないかと思われます。

【NFT】2021 Topps Series 1 Baseball NFT
NFTに特化したブロックチェーンネットワークWAXを使い、Garbage Pail KidsというオリジナルキャラクターでNFTトレーディングカードを発売、NFT事業に参入。
そして、2021年4月にアメリカ大リーグMLBをテーマとした2021 Topps Series 1 Baseball NFTを発売しました。
大リーグの公式トレーディングカードの販売権をもち、長年にわたり紙のベースボールカードを販売してきた同社がNFTトレーディングカードを本格参入したことは、NFTが新たな資産として認識される大きな一歩になるのではないでしょうか。

【NFT】NFTトレカ
NFTトレカはCoinbookが提供するNFTトレーディングカードサービスです。2020年10月、アイドルグループSKE48のライブイベントをテーマにライブ画像をNFT化し発売しました。いままでトレーディングカードになることのなかったコンサート中のライブ感あふれる画像をそのコンサート名、曲名などの情報とともにNFT化しています。
また、NFTトレカはブロックチェーンゲームCryptoSpellsとコラボしており、手持ちのNFTトレカがCryptoSpells内のカードバトルに使用でき、従来の紙ベースのトレーディングカードにはない付加価値を実現しました。
NFTトレカは5枚1000円~と販売単価が低いことから、ブロックチェーンのネットワーク手数料の負担が重いため、イーサリアムネットワークとスマートアプリ社の技術開発によるネットワークシステムのいずれかでデータが保持され、ユーザーの利用ニーズに合わせて選択することができる仕様となっています。

【NFT】BABYMETAL NFTトレーディングカード
BABTMETAL NFTトレーディングカードは日本のメタルダンスユニットBABYMETALが発売したNFTトレーディングカードです。2021年5月、BABYMETAL結成10周年を記念し全10種類のNFTトレーディングカードとアナログ版ベストアルバムをせっとにし1000セット限定で発売されました。
NFTとリアルなモノとの組み合わせは、様々なモノの購入特典としてNFTトレーディングカードなどを配布するといった手法などでの利用も期待され、NFTを広く普及させるひとつのやり方になるかもしれません。

【NFT】ユーザーおよび権利者にとってもメリットが生まれる
また、モノ自体には盗難や偽造のリスクもありますが、NFTは取引されるたびにブロックチェーンに履歴が記録されるため、真正性が保証され、偽造のリスクが格段に小さくなるというメリットもあります。
NFTトレーディングカードはそれぞれのカードが固有のデータを持っているため、デジタルデータでありながらひとつひとつがそれぞれの価値をもちます。
その特徴を活用し、今までのトレーディングカードでは実現しにくかった付加価値の提供も期待されます。
また、ブロックチェーンの互換性を活用しお気に入りのNFTトレーディングカードを全く異なるゲームのアイテムとして使う事や、複数のNFTトレーディングカードを組み合わせて新たなNFTトレーディングカードを作り出すなど、NFTならではの新たな利用機会を提供することも可能です。
トレーディングカードのNFT化はIPの権利者にとってもメリットが生まれます。従来のリアルなトレーディングカードでは、直接売買・交換したり、オークション・フリマサイトでの売買により二次流通が行われ、権利者は二次流通にかかるロイヤルティを収受しにくい状況にありました。
NFTトレーディングカードにおいては、その二次流通の取引を管理することが可能となり、利用者間の売買を通じて得られる手数料の一部を、ロイヤルティとしてIP権利者に還元することが比較的容易に実現できます。
新たな収益獲得の機会として、さまざまなIP権利者が今後NFTビジネスに参加することが期待されています。
公式に販売された正真正銘の本物を所有しているといった照明のほか、数量限定で販売されたものや、まだ人気の出ていなかった初期に販売されたもの、本人等特定の人物が保有していたものなどいわゆるレアカードを世界中のコレクターに自慢することも可能ですし、また自分がほしいカードをもつ他のコレクターに直接売買交渉をするといったことも可能になります。
固有の情報をもち、またその取引履歴も記録されるというNFTトレーディングカードならではの楽しみ方は今後より一層増えていくと思われます。

【NFT】NFTトレーディングカードの展望
盛り上げりを見せるNFTトレーディングカードですが、提供ははじまったばかりのサービスでもあり、まだまだ課題はあります。
NFTはブロックチェーン技術を使ったものであり、購入する、売却するといった場合には暗号資産が用いられることが多く、また、NFTトレーディングカードを保有するにも、ウォレットアドレスが必要で秘密鍵の管理なども行うことになります。
従来のトレーディングカードであれば必要のなかった知識であり、手間もかかるため、幅広く一般ユーザーを獲得していくにはまだまだ工夫が必要かもしれません。
NFTトレーディングカードでは特殊なカードは高額な値段がつくこともありますが、やはり一般的に普及させるにはユーザーが手にとりやすい価格帯であることが不可欠だと思われます。
現在主流であるイーサリアムネットワークを利用したNFTでは、数百円といった商品では、単価に対するガス代の割合が大きく、またそれをコントロールすることも難しいため、ガス代を吸収しにくい単価の低い商品が販売されず、一般的な普及に時間があっかる可能性もあります。
一方でFLOWやWAXなどNFTに特化したイーサリアム以外のチェーンの活用など、ガス代を削減する動きも積極的に行われています。
NFTトレーディングカードはNFTであるがゆえ、NFT自体がもつ課題もあります。
所有者以外が画像を見ることができてしまう、運営会社のサービス停止に伴い自身がもつコンテンツにアクセスできなくなる可能性、NFTが暗号資産に該当する可能性などなど多岐にわたります。
一方で、よりユーザーが使いやすいサービスを実現すべく、様々な技術開発も行われており、今後のNFT関連の技術革新がNFTトレーディングカードのさらなる普及を促してくれるのではないでしょうか。